ライトフラットパネルの製作 (ELパネル)
前書
 淡い天体を表現するには質の良いフラット画像を得ることは必須です。
 まだELパネルを使用していないころ、撮影の途中で濃い雲に覆われ、そのままシャッターを開いていたことがあります。その画像をステライメージであれこれ触ってフラット処理をしたところ、トーンカーブを強烈なSの字にしても均一に背景が持ち上がるとともに、確認できなかった淡い部分がうっすら持ち上がってくるのです。
 こんなこともあり、フラット画像の必要性を痛感したわけです。
 ライトフラット画像を得るのにスカイフラット(薄明の空、青空、均一の曇り空)は質の良いフラット画像を得ることができますが、反射の私には問題があります。一晩に撮影対象が変わり構図を決めるためにカメラを回転させます。そうすると、今の私の光軸を合わせる技術では光軸の中心は画角の中心とは限らないのです。
 ということで、カメラを回転させる前にELパネルを使ったフラット画像が必要になるわけです。

パネルの作成
 購入したパネルはA4サイズの物で5000円程します。鏡筒の径を考えると短辺が23cmはほしかったのですが、そうなるとA3サイズを購入しなくてはなりません。もちろんお値段も倍かかります。

 発光前は左側のようにピンク色をしています。発光させると白というより青白い色となります。

 また、左の写真のように曲げることもできるし、端子を残せば自由な形に切ることができます。
 この紙のようなELパネルをフレームにはめることにしました。
 使ったものは市販されているA4サイズのアルミフォトフレームです。結構安い値段で売られています。ただ、2つ購入しました。私の持っている鏡筒はフード径で250mmほどあります。そのため、隙間なくフード先端に乗せるにはA4の長辺分が必要です。
 長辺4本分を組み合わせ大きな正方形を作ることにしました。
 ELパネルをこのまま発光させると明るすぎるため、車の窓の貼る減光フィルムを大きさに合わせて切り、貼り付けます。その上に乳白色のポリシートを光を均一にするためと保護のために重ねます。
 出来上がりはこんな感じです。

 発光させている画像ですから、左右端が黒くなっています。かなり減光されていても明るい部屋でも光っているのがわかります。後書で述べますが、明る過ぎることが質の悪いフラット画像になるようです。

インバーターの製作
 市販されているインバーターはほとんどがAC100Vが入力電源になっています。それに、結構値段がするんです。
 共立電子に12V入力のインバーターキットが販売されています。ただ、ELパネルの使用面積が400cuと書いてあり、A4の600cuには役不足となります。
 少し悩んだ末、「まあいいか」と買ってしまいました。
 購入後、電圧を変えられる安定化電源を利用してインバーターに通電してみました。すると、何の心配もなく点灯をします。その上、電圧をかえてみると比例して明るさも変わります。電圧を下げても暗くなりますが、ちらついたりまばたいたりはしないようです。暗くしたいと考えていますから、これはいいことです。
 降圧安定化電源として最近お世話になっている秋月電子の三端子レギュレーター(3A)キットで電圧を調整してELパネルの明るさを調整してみました。

 キット以外にヒートシンクと1kΩの可変抵抗器が必要です。
 左側が降圧安定化電源。右側がEL用インバーターになります。電源部の基盤の不要な部分は切断しています。

後書
 ELパネルによるフラット画像を撮るときに気をつけたいことがあります。

 明るいまま使用すると適正露出を設定しにくいなどの困ったことが起こります。フラット画像を撮影するときはピント・カメラ角・絞り(レンズの場合)を変えなければ、カメラの感度やシャッタースピードを変えても構わないようです。
 私の思っている適正露出はISO100ぐらいの低感度で5秒前後でしょうか?
 例えは1/100秒などの速いシャッターを切った画像には発光の斑ができています。テレビの走査線のような感じです。
 わたしは、フラット処理をベイヤー配列のままステライメージでパッチ処理をしています。このときに、フラットのダークファイルが必要なのです。どうして5秒ほどのダークが何の役に立っているのか理解しにくいのですが、結果は明らかに違います。

 最後に、ELパネルは便利ですが、鏡筒に対して直行な平行光源ではありません。鏡筒での内部反射やカメラマウント近くのケラレがしょうじます。やはり、どん曇りフラットにかなうものはありません。

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