EOS 6D 改造
(IRカットフィルター除去) (簡易冷却)

前書
 長い間愛用してきた冷却X2は壊れることなく3年がたちました。次に購入するカメラは初心者用冷却CCDにしようと、フォトコンの賞金は手をつけず貯めてきました。しかし、よっちゃんの6Dのカラー画像を見せてもらっているうちに「まだ、デジカメ一眼も捨てたものではないぞ!」とつぶやき、次期撮影カメラは6Dに決めました。モノクロ冷却CCDのL画像にはデジカメはとうてい及びませんが、デジカメは撮影した枚数分の輝度とカラー強度を同時に得ることができ、今なお魅力を感じます。

分解
 分解を始めるにあたり、大量に外されるねじの管理にはいつも悩まされます。今回は左の写真のようにピルケースのようなものを用意し、そこに通し番号を打ちました。ねじを外すたびに外した場所を絵に番号とともに記入して分解を進めました。
 この方法は今までやってきた中で一番合理的で、間違いが少なくすんだ感じがしました。
   今回はIRカットフィルターを外すだけですので、背面カバーだけを外す予定で作業を進めます。
 まずはゴムシールに隠されてると思うねじを外します。
 背面ゴムシートに2個。左側面の端子側は5個のねじを外します。ベルトを掛ける金具は裏側に固定ねじがありますが、上部カバーを少し浮かしたいので取り除きました。
 
 
   最後にファインダーの周りのねじと、底の部分のねじを外すとモニターがついている背面のカバーが外れ、1本のプリントケーブルでつながっています。

 最近のCanonのデジタル一眼レフカメラはCMOSの裏に基板をつけています。昔のようにこの基板がついていなかったら、CMOSの裏側をしっかり冷却ができるのですが、この状態だと難しそうです。
 
   
   次に、フラットケーブルを外し、基板を外すようにします。
 フラットケーブルは主に3タイプです。ロック機能があるタイプ、ただ差し込んでいるタイプ、上から押さえ込んでいるタイプです。ケーブル自体を差し込むタイプには穴が開いていて抜くのは楽に作られていますが、下部の幅の広い1本だけ穴がなく抜く方法がよくわかりません。何かこつがあるのでしょうね。
 
   背面の基板は右上部裏に端子が差し込まれているので慎重に取り外します。これでCMOSと基板が取り出せる状態になりました。
 まずはじっくり観察をするといつものように上部2点下部1点の三点で支持し、スケアリングを調整しています。でも、X4を分解したときと同じくスケアリングはシムではなく、バネによる調整でした。緩めてしまうと50μの精度で元の状態に戻すことはほぼ不可能でしょうね。
 
   とは言っても、ここでやめるわけにも行かず対策として
@ガイド用の黒い出っ張り棒が出ている高さをノギスで測っておきました。
A緩み止めのペイントをあてに緩みきるまでの回転数を数えました。
 しかし、ノギスでの高さ測定は微妙で少しの傾きで数値はころころ変わります。また、ねじの緩み回転数ですが、緩んで外れたことがわかりにくく、これまた役に立ちそうにありません。

 もう後戻りできない状態なのでフィルターを二枚外してしまいました。以前までとは違って黒いシリコンで固定されているわけではないので赤外カット用と色温度用とも無傷で外すことができました。(CMOS基板の写真を撮影していない・・・。余裕のなさがわかりますね。)
 
 
 
スケアリング調整
 組み立てにかかるのですが、スケアリングの調整は上文に書いた二つの方法はとても役に立ちそうにないので考えたあげくレーザーを使うことにしました。

 シャッターを開かなくてはいけないので、まず、仮組立をするのですが、三点支持の下部のねじだけは元の出っ張り棒の寸法から1.3mmほど奥にねじ込み基準の高さにします。下部のねじは基板に隠れてしまうため調整が困難なためです。
 組み立てのねじは最小限にとどめ、通電させてシャッターを開き、レーザーの反射位置を測定します。
     初回のCMOSの反射光は中上画像の通り、左上にずれています。と言うことは左上のねじを締めれば近づくはずです。左上のねじはフラットケーブルに隠れているので面倒です。これを4回ほど繰り返すと雌マウントと同じ位置にレーザー光を反射することができ、スケアリングの調整は終了となります。
 でも、通電したまま右上のねじを触ったりもしましたが、振り返ると危険すぎます。面倒でも調整するときはバッテリーを外すべきですね。
 
 

後書
   6Dを分解をして気づいたことはあちこちにノイズ対策だと思われる銅板や黒い膜が張り巡らされていること。CMOSの冷却化は難度が高いと思われます。可能だとするとスケアリング調整をしたステンレス板を抜き、新たに冷却板を下から差し込み下部に冷却ユニットをつければ可能だと思いました。しかし、断熱はどうするのか?冷却板がスケアリング調整と共有するためスケアリングは不安定になるのでは?
 試みたい気持ちはあるのですが、まずは6Dの実力がわかるまで撮影を繰り返したいと思います。

 右の画像はファーストライトとなります。実は上の画像にもちらっと写っているsloさんからお借りしたEM200で駆動しての撮影です。EQ6は後の記事にしたいと思いますが、ゴールデンウィーク前に大幅な改造をして順調だったのですが、不安定な電源とつないだ瞬間にコントローラーとのリンクができなくなり、基板交換となりました。
 そのことを見かねたsloさんが「せっかくのゴールデンウィークなのに・・・」と、ご親切に赤道儀を送ってくれました。ありがとうございました。