iso感度とS/N比 (KissX2)

前書
 以前よりデジカメ一眼での撮影で気になることがありました。それはiso感度と露光時間とコンポジット枚数の関係です。RAW画像はいろいろな情報が埋め込まれており、撮影後にホワイトバランスを変更したりすることができるのですが、iso感度は変更ができません。そこで私が思っていたのは「冷却CCDのように元の感度がありそれを増感しているのだから露光時間が同じだとSとNは同比率で上がり、画像処理結果は同じになる」と、考えていましたし、「増感しない元の感度で撮影して画像処理をすればよりSN比が上がるのでは」と思い込んでいました。
 よっちゃんと話をしている中で彼は「ヒストグラムが右にある方が有利」、私は「左傾斜の山があるのなら同じ」とお互いの意見はかみ合いませんでした。
 なかなか星雲撮影でこれらのことを検証するには良い星空がもったいないので、暗い部屋で検証してみることにしました。

検証
       検証方法はとても肉眼では確認ができない暗い部屋の中で対象物をiso200・400・800・1600と変更をし、それぞれライトフレームを2分8枚。ダークフレームを2枚撮影しました。なぜこの対象なのかは?「そこにあったから」ということです。  
    jpegプレビュー画像

改造機なので赤かぶりをしていますが、実星雲画像としてはかなり暗い対象の光量しかないですね。

 
 
    画像処理後の全体画像比較 (画像クリックで拡大画像)

 処理としてはSI7でダーク処理をして、ヒストグラムの挟み込みレベル調整をしただけの画像です。カラーバランスは取っていません。
 iso200においては挟み込みだけではランダムノイズが浮き出てきてくるばかりで、かなり暗部が明るい画像になってしまいました。


 
    画像処理後の拡大画像比較 (画像クリックで拡大画像)

 iso200は問題外。iso800と1600はほぼ互角という感じを受けました。うーん、何ともいえないのですが、主観的にはハイライト部分のノイズ感は1600の方が勝っているかな?

 
 
 
考察
 iso200の画像処理を進めているときに感じたことは、高感度と同じようにヒストグラムを挟み込むとその前にランダムノイズが浮き上がってきます。
 そこで、素人ですが感覚として左のグラフのようなモデル図を考えました。
 まず、ライトフレームはどの感度でもその感度に応じた輝度情報を持っていますが、コンポジットしたランダムノイズの輝度は感度にかかわらず潜んでいる感じです。よって、この平均化されたランダムノイズより浮き出たライトフレームの輝度が必要になってくるようです。
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後書
 わたしは、以前よりiso感度に関係なく露光時間とコンポジット枚数が同じであれば画像処理の上で同格の画像が得られるのではないか。また、カメラ内の増感処理をしないiso感度の方がより生画像としてSN比が上がるのではないか。と、期待してiso400の感度を使っていました。
 今回の検証した結果から今後、フラットフレームの撮影方法に問題を感じつつも、拡張増感(X2にはありませんが)ではない高感度のisoを使用していきたいと思います。
 最後に、「よっちゃんが正しかったのか・・・。」同条件での撮影をしたつもりでしたが、少しSN差に疑問を残しています。みなさんも一度検証ください。
  
   2013.2013年11月