極軸望遠鏡の変更

はじめに
 EQ6Proの極軸望遠鏡はVixen製のGP系と全くと言っていいほど同じつくりをしています。望遠鏡をのどいて見えるレチクルのパターンは少し違いますが、小円の中に北極星を入れて極軸を合わす方法です。
しかし、あまりにも似ているので、試しにGP用の極軸望遠鏡をねじ込んで見ました。まあ、ぴったり収まり、何も支障がないようです。


 ということで、使い慣れた極軸望遠鏡なのでスムーズに極軸合わせができると、ウェイト・鏡筒と載せていったのですが、この夏場大きな問題に気付きました。
 時刻目盛と月日目盛を合わせようと赤緯体を回転させると鏡筒が下に回り、三脚とぶつかるのです。こんな時期はGPの場合、赤緯体をはずし90度か180度回転させて取り付ければ問題を解消できるのですが、EQ6はそうはいきません。
 結局、極軸をあわせた後、鏡筒等を載せなくてはいけない破目になりました。


 以前GPDを使っていたころからSX専用の極軸望遠鏡が気になっていました。タカハシ製と同じように極軸望遠鏡のユニットに水準器がついているのです。
 以前、SXを所有していましたしばたさんに聞いてみると高橋のEM200などと同じように極軸合わせができるということで、工作が始まりました。

計画
 SX専用の極軸望遠鏡をじっくり見るとGP用の極軸望遠鏡をうまく改良して作られていることがよくわかりました。
 取り付けように34mmのオスねじが切られていますがその部分はどの部分とも連動せずフリーに動きます。この仕組みのおかげで、赤緯体を回転しなくても北極星の位置を決めることができます。

 SX用極軸望遠鏡の取り付けができる部分は正規の取り付け部34mmのオスねじとその外側の3つの芋ねじで固定されている46mmのオスねじのどちらかを利用しなくてはいけません。

 EQ6の赤経軸側は内側に28mmのメスねじが赤経軸に切られており、その手前の赤経軸の固定ねじの内側は38.5mmほどのスリーブになっています。

 ベストは外径38.5mm内34mmのカラーを埋め込むのがベストですが・・・旋盤がほしい。
 結局、46mmの時刻目盛板の半固定用のリングねじを使うことにしました。
 46mmはカメラフィルターに使われているサイズなのでステップアップやステップダウンリングがあります。
 今回は、46mm-58mmのステップダウンリングを500円で購入し、利用することにしました。

製作
 まずは、赤経軸の固定ねじのロック用の芋ねじ4個(なぜ3点支持でない?)を緩め、ウォーターレンチなどで緩め抜き取ります。このときにテーバー状のベアリングも抜けてきますので気をつけてください。

 左の写真のようにステップダウンリングを出来るだけ芯出しをして(最終的には極軸望遠鏡で芯出しができます)3箇所を3mmの皿ねじで固定します。
 このステップダウンリングの面は写真の白いリングに接しますので皿ねじの頭は面から出ないように面取りをします。
 左の写真が極軸望遠鏡を取り付けた様子です。
 ここまでの工作だと、締め付けすぎると時刻目盛板の動きがしぶくなります。緩めすぎると極軸望遠鏡を回転させると緩んでしまう恐れがあります。
 ステップアップリングの横から2mmのねじを切り、ロック用のねじを入れるようにしました。
 後、工作しなければならないものは、極軸望遠鏡を保護するキャップ(半球状の)が極軸望遠鏡が約6mm手前に出てきたため、ねじ込むことが出来なくなります。
 それで、スペーサーを作ることにしました。
 特に荷重や力がかかるところではないので、加工し易い発泡塩ビの5mmを取り付けようのねじに合わせて作りました。

取り付け
 はじめの計画通り取り付けることが出来ました。
赤道儀の東西の水平だしのための水準器も付けたままにしておきます。
時刻目盛も極軸望遠鏡もスムーズに回転をしてくれます。この極軸望遠鏡の回転部には白く薄いプラスチックが各所にはさんでいます。このことが回転をスムーズすることに寄与しているようです。
極軸調整
 「後は、極軸の調整だ」と1.3mmの六角レンチを手に取りレチクルを固定している3つの芋ねじに手をかけようと思ったのですが、「どちらを回転させて調整すればいいのだろう?」GP赤道儀は極軸望遠鏡が固定されている赤経軸を回転させ調整したのですが、SX赤道儀の場合極軸望遠鏡を回転させるため、極軸望遠鏡と赤経軸がきちんと平行になっていないと精度が落ちことになります。
 まあ、悩んでいても仕方がないので、極軸望遠鏡を回転させて、芯だしをしてみました。
 しかし、調整後、赤経体を回転させるとわずかに芯がずれています。

 こまった。作ったアダプターのどこで調整すればいいのか?

 結局、そう心配することはなく、ステップダウンリングで作ったアダプターに極軸望遠鏡をねじ込んで3点のねじの閉め具合で調整することが出来ました。もし、極軸望遠鏡が赤経軸とオフセットされていても問題はないと思います。
極軸調整の改良  2009年2月追記
 再度、赤経体を回転させると軸がずれていることがわかりました。
 極軸望遠鏡の軸が十分赤経軸と平行になっていないため、左のようなカラーを作り固定することにしました。
 外径が38mm、内側に34mmP1のメスねじが切っているものがあれば理想的なのですが、身の回りにそう適したものはありません。(やはり旋盤がほしい。)
 そこで、左側の写真に写っている36.5mmの延長チューブを加工することにしました。このチューブは外径38mm内径は34mm厚み2mmほどのもので、少し内側を削れば固定できそうです。内径を0.5mmほど削れば、きちんとはまり、接着と周り3箇所のロックねじで固定しました。
 SX用の極軸望遠鏡の取り付けは赤経軸と軸がそろい、レチィクルの芯出しをしておく必要があります。
 調整のための仕組みはEQ6の赤経軸を固定しているリングねじに3ヶ所3mmのメスねじを切り、極軸望遠鏡にはめた上記のカラーを芋ねじで押さえることによって調整をするつもりです。
 ただ、極軸望遠鏡自体が46mmのねじで軽く固定されているのでどの程度移動できるか心配があります。
 調整の手順は、極軸望遠鏡の軸とレチィクルの芯とどちらを先に出せばいいのでしょうか?
 方法として間違っているかもしれませんが、調整をしてみました。
@ レチィクルの芯出しを極軸望遠鏡を180°回転させて中心をだす。
A 10月10日午前1時20分北極星が南中するよう月日環を固定する。
B 赤経体を180°回転させ、中心のずれを新しく作った3箇所の芋ねじで調整して極軸望遠鏡の軸出しをする。

 GPの場合は厳密には極軸望遠鏡と赤経軸とはずれている場合が多く、それをレチィクルをずらすことにより極軸を出しています。SXの場合、極軸望遠鏡自体を回転させるため、極軸望遠鏡の軸出しが必ず必要だと思います。

後書
 EQ6Proを写真撮影用の赤道儀として利用するときに、この極軸望遠鏡の構造の悪さが大きなネックになると思います。それは、上記でも述べたように、鏡筒等の荷重をかけたときに極軸を合わせることが出来ない時期があるからです。
 また、極軸をきちんと合わせることが出来ると、このEQ6proの駆動系がコストパフォーマンスに優れていることがよくわかります。
 改めて、オートガイドに頼るようになり、おろそかになりがちであった極軸の精度がガイドエラーを少なくする要であることを感じました。
2008年9月 2009年2月追記
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