Mamiya APO A200 をEFマウントに
EFマウント変換 フォーカス補助 円形絞りF3.5

前書
 以前より、イメージサークルの大きい200mm、300mmのカメラレンズを探していたところ、67や645のカメラレンズを使われている方をネット上で見かけるようになりました。
 67・645のレンズを使ったことはありませんが、デジタル化の波で中古市場はかなり安くなっています。APOなどの高性能のレンズもこの波の飲み込まれているようです。ただ、デジタルでの写りはどうなのか心配はあります。
 
 手に入れたレンズはMamiya A 200mmF2,8APOというものです。
 外見は白い筒でかっこがよく、作りもしっかりしています。しかし、重い。

 このレンズをEOSで使うには、@マウントアダプタを用意する。A雲台に付けるときのバランス取り。の2点について考えなくてはいけません。

マウント変換アダプタの製作
 市販されている変換アダプタはレンズと変わらない値段がしますので、作ることにしました。

 作るポイントは
@フランジバッグはマミヤ645が64mm EFが44mmということで、アダプタは20mmの厚みで作ればいいことになります。
Aカメラの回転装置を付ける
今後、雲台に付けるとなるとカメラ側で重いレンズを支えるのは大きな不安があるので、レンズ側で固定すると考えて、回転装置をつけておくことにしました。
 これらのことを考えて、Mamiya645用 中間リング No.1をオークションで手に入れて作業を始めることにしました。 
 Mamiyaの中間リングを分解しました。大きく5つの部品から作られています。そのうち奥にあるオスマウントは使いません。

 左のメスマウントにはバヨネットの固定解除用の小さなレバーが付いています。ばねでいつも同じ方向に向くようにしていますが、簡単に外れ飛んでいきますから、あらかじめはずしておくか、テープで固定しておいたほうがいいように思います。
 EF側は左のようにビクセンのワイドマウントと三ツ星で昔買ったEFオスマウントを利用することにしました。初めは、Tリングを利用して回転させようと思っていたのですが、回転させるためにはM42のリングを使う必要があり、イメージサークルを小さくしてしまうため、残念することにしました。

 この組み合わせで仮止めをし、光路長を計ると21mmあり、1mmをどこかで削らなくてはなりません。
 前から不思議に思っていたのですが、テーパー状のリングを締めるときにどうして締め付けねじの先が四角いのでしょうか?丸かそれにあった台形状の方が引っかからずきちんと押さえて固定することができるように思っていました。
 今回、ワイドマウントのオス側(テーパー状になっている方)を0.5mm削ったこともあり、左の写真のようにボール盤にねじを固定し、やすりで台形状に先を削ることにしました。材質は真鍮なので加工が簡単できれいに削ることができました。
 変換マウントの完成です。
 光路長を4箇所で計ってみました。@19.86mmA19.81mmB19.85mmC19.90mmとやはり手作りですね。削るときにノギスを片手にガラス板の上にサンドペーパーを置いて計りながら削ったのですが、まあ妥協します。

 削った部分ですが、まず、ワイドマウントのオス側を0.5mm削りました。後0.5mmを削りたかったのですが、この部分を後0.5mm削ってしまうと3点のねじで固定することができなくなります。
 後0.5mm分はEFオスマウント側を削りました。これで合計1mm光路長が20mmきっちりになるはずでした。
 Mamiyaレンズに装着してみました。
Mamiya側もEF側もマウントの精度が高く、カチッと固定されました。最近売られているビクセンやボーグ、タカハシのカメラマウントアダプタの固定がゆるくなっています。ビクセンの前の物はこんなことがなかったのにと、愚痴を言っています。

 今回、もう一つ工夫があるのです。
 ビクセンのワイドマウントを使われた方は悩まれたと思うのですが、固定用の長いねじは便利なのですがカメラを回転させるとカメラのフラッシュ部の軒に当たってしまってそれ以上回転さすことができません。今回、ワイドマウント側のメス(60mmのオス側)にEFマウントをつけました。こうすることでねじ部はカメラと同じに回転をしてくれます。
 4kmほど離れたテレビ中継塔を明るいうちに試写してみました。ところが問題が発生しました。無限大が出ないのです。カメラを変えてみてもだめです。そこで、もういちどMamiya645のフランジバッグについて調べてみました。すると、あるサイトに「64mm→63.5mm?」と書いておられる方がいました。私のレンズ個体の問題なのかよく分かりませんが、とりあえずもう少し削って見ることにしました。
 削る目標は「63.5mm?」の?も気になるので、後0.7mmほどを削ることにしました。あまり肉厚に余裕のあるところがなく、3箇所を0.1,0.2mmずつ削り、アダプターの光路長を19.1mmまで削りました。
 これでも、ぎりぎりのような感じです。時間があるときに星を試写してみます。

レンズ固定座の作成
前書き
 固定座の構想としては、安定性を確かなものにするために、レンズの前後をバンドで巻き、アリガタを渡すしか思いつきません。
レンズは中古品ですが、一応直接加工しなくてもよいように工作を進めたいと考えました。
 ただ、レンズのほとんどの部分が回転したり、前後したりするんですよね。思案の結果、筒が前後する部分と変換アダプターにバンドを巻くことにしました。
 バンドを巻こうと考えている部分の直径はちょうど70mmあります。ネットをあちこち探したのですが、70mmという安い鏡筒バンドを探すことが出来ず、結局左の写真のタカハシのサブスコープ用の座を加工流用することにしました。
 このバンドの内径は71mmほどです。内円がテーパー状になっており、70.5-71mmとなっているのが気になります。鋳造品なので仕方がないでしょうね。

 この頃のタカハシの塗装はしっかりしていますね。それに分厚いです。けがきをしようと思ってもなかなか金属部に届きませんでした。
 この加工に使った工具は、金のこ・やすり・ボール盤・タップ・フライスの刃ぐらいでしょうか。
 いつものように加工途中の画像は撮り忘れました。熱中するとだめなんですよね。

 レンズ前部分
@真横にばっさりと切断をして、切断部の片側にはアルミ板で作った豆形の板ではさみ動くようにしました。
 反対側はねじ固定ができるようにフライスの刃をボール盤につけて、溝を作りました。

 レンズ後部分
 後部のほうは円形のままで差し込めますから、横には切断をしなくてすみますが、厚みを薄くするために金のこで縦に約半分切らなくてはいけません。これが大変!翌日まで肩が痛かった。
アダプターにはめると直径で1mmほどの隙間があきます。その部分には0.5mmほどのプラスチックのテープを貼り、3点を芋ねじで圧迫して固定をしました。

 アリガタの加工
 これは簡単だと甘く見ていたのですが、垂直に切れない、削れないんです。
 結構慎重に切ったつもりだし、垂直に削ったつもりなのですが、組み立てるとつじつまが合わなくなるのです。
 垂直にやすりをかけるというのは、本当に難しいですね。やすりを水平に動かすことがこんなに難しいとは・・・。


 結局、微調整が必要なので下2枚目の写真に見れるように、芋ねじを押しねじにして微妙な調整をすることにしました。
 取り付けた感じはこんな感じになります。
前面部のバンドは緩めるとスムーズに前後することが出来ます。閉めるとピントを固定することができます。
 今は、キャップボルトでとめていますが、手で回せる長いボルトを探します。

 ここまで来て、ある不都合に気づきました。(気づくのが遅い)前レンズのレンズキャップがはずせないのです。フードが伸びた状態ですから、キャップの外側を押せないのです。
 前面2箇所をはさんでとめるキャップか、フードにキャップをするか、考え購入をします。
 フィルターをはめる場所がないかと探したら、回転装置の中がちょうど52mmの薄型フィルターを入れるのにいい感じです。
 1mmほど隙間が開くので、植毛紙を切って内側に貼りました。クッションの役目があるので取り外しも簡単でよさそうです。

 普段は後玉以降にフィルターを入れると輝星にゴーストがまきますが、前玉につけるとお金がかかります。
 それから、今回はぜひこの場所に入れたいと思っていたのです。それは、今のままでは無限大のピントが出ない恐れがあるのです。フィルターを一枚入れることでそのフィルター厚の6割程度、フランジバッグが伸びそうです。
 カメラに取り付けてみました。白いレンズなど持ったことがないので、「かっこいい」とうれしくなってしまいました。

 ピントリングの動き、回転装置の動きともにスムーズです。
 アリガタの底に1/4インチねじを切っておきました。雲台やシューを付けることも出来、重心もほぼ取れています。

 カメラベルトに紐付けされているものはファインダーのキャップです。純正のベルトについていたのをはずしました。撮影時よくカメラの背面部を照らしてしまうんですよね。

テスト画像
 
 このレンズのファーストライトの画像です。対象はアンタレス付近です。撮影条件は分かりにくいうす雲がかかっている状態でF2.8開放でISO800 6分4枚 気温11℃の条件です。
 画像処理はダーク・フラット処理後加算コンポジットをしてデジタル現像にかけています。後は、ホワイトバランスを取り、レベル調整ではさんだだけです。
 下の画像は対角線上の端2枚と中心の画像を載せました。
 印象としては悪くないように思います。ニコンMF180mmEDとの比較になりますが、述べたいと思います。
 開放となると明らかにMamiya A 200mmの方がすべてにおいて優れています。
 ニコンMF180mmEDをF4に絞って比較すると、星像はニコンの方がシャープに写ります。でも、星像はMamiyaの方が周辺まで円形で綺麗なうえ放射状に広がる色収差(正しい名前は知りません)は外には広がっていません。同心円上に巻きます。
 Mamiyaの画像を3色分解してみるとニコンもそうですが、RとGBのピント位置にずれがあります。また、L41フィルターではぬぐえきれない青ハロが恒星によってはどちらにも同じ程度でます。

後書
 もともと深い思いで買ったレンズではありませんでしたが、このレンズを実際に手にすると後玉から画素面まで約58mmもあります。このことは画素面に対して垂直な光が入ることになり、開放にもかかわらず星像によい影響を与えてくれているようです。
 また、カメラを回転させることが出来るようにしたことは写野を決めるのに便利な機能になっています。

 レンズのピント出しはいまだに苦手ですが、F2.8という明るさの利点をうまく使って撮影を楽しみたいと思っています。
2009年4月